加工技術
ガス焼き加工
●加工内容
ガス焼き加工とは、一本一本の糸をガスバーナーの火に通し、360度毛羽(ほこり)を焼き取るものです。
ガス焼き加工された糸をガス糸とも言います。
用途や番手に応じて焼き率を変更することも可能です。
●加工の効果
ガス焼き加工を行うことにより、毛羽がなくなり、見た目でわかるほど光沢が増し、なめらかな風合いに仕上がります。
毛羽がなくなり肌触りが良くなることで、製品の付加価値が上がったり、制作工程上、毛羽が邪魔になる場合(例えばスムーズに織れない編めない)に効果を発揮します。
昨今では、様々な機能を持った素材も多いため、熱反応を応用した加工に用いられる事もあります。
例…ウェラブル衣料、釣り糸等
・短繊維特有の毛羽が無くなる
・染色時の発色性が良くなる→柄がくっきりする
・目の細かい上質な光沢感がでる
・肌に触れる面積が少なくなる為、さらりとした肌触りになる
・なめらかな風合いに仕上がる
・付加価値が上がる
・強度や耐久性が上がる
・ピリング等級が上がる
・熱処理加工としての有効性
・スムーズに織れたり編めたりし、糸が切れにくくなる
●当社の独自技術
ガスを一定の箇所で一定の温度に保たないと品質が安定せず、染色の際に色ムラが出るため高付加価値の商品として成り立ちません。なお、毛羽立ちを最小限に抑えようとして焼きすぎると燃えたりするため、高い技術力と経験が必要になります。弊社では熟練の職人の技術と経験で素材の良さを引き出します。
番手は10/2~100/1の単糸・双糸・3本糸(3本撚糸)まで扱っております。綿糸以外の原料も扱っており、TC(テトロン混)や、麻、ウール、シルク、物によってはポリエステルスパンなども加工可能です。お客様の使用用途や番手に応じて焼き率を変更することも可能です。
ヨーロッパの繊維機器メーカーSSM社のガス焼き機と日本の繊維機器メーカーと共同開発した弊社オリジナルのガス焼きを設備しています。(2015年ものづくり補助金)
撚糸加工
●加工内容
撚糸加工とは呼んで字のごとく1本又は複数本の糸に撚りをかける加工の事です。
●加工の効果
撚りをかけていく事で糸に、強度をつけたり異素材を組み合わせることができます。強さが増す事で単糸使いの生地より耐久性が増し高品質を持続させることができます。
資材用途の糸においても強度を持たせることで様々な場面で活躍しています。様々な撚糸回数で各々のニーズに合わせた加工設定をし、ニット生地又は織布における生地の風合いに変化を持たせます。基本はお客様の指定の撚糸回数をかけていきます。
・用途に合わせて必要な番手や強力を保った糸に仕上げる
・毛羽をねじ込むので毛羽は少なくなる
・撚りをかける事で糸の強さが増すので、耐久性が増し、高品質を持続させる
ヒートセット加工
●加工内容
セット加工とは厚い鉄板で作られた釜の中に加工する糸を入れて釜を密封し、モーターポンプの力で釜の中の空気を吸いだすことで真空状態を作り、その真空状態にボイラーで作りだした蒸気を噴霧する工程の事です。
●加工の効果
この加工は糸の撚り回数(簡単に言うとインチ当たりどれだけねじれが入っているのか)が多い強撚糸の加工に欠かせないものです。
なぜなら強いねじれが入っている糸にはほどけていく時に、よりねじれる方向に力が作用するために、糸のもつれ(スナール、ビリ)が発生し、生地を編む時に針折れや生地欠点の要因になるからです。そこでセット加工を施せば、完全真空になる事で、蒸気の浸透が極めて均一になる為、糸自体の形態安定となり、さらに強度が増し、糸の風合いも良くなる為、製織の際には非常に織りやすく、染色のムラがなくなるなど、次工程での使用が格段に良くなります。
但し、糸によって湿度、保熱時間、水分量を適切に設定しなければ十分な効果はありません。当社はこれまでの経験とノウハウにより糸の特性に応じた最適な加工を行います。
・天然繊維に必要な水分率が与えられる
・撚りが強い糸の場合、そのままでは扱いにくいため撚り戻りを抑える
・編地の斜行問題の回避に使用される
・強度が増す
・糸の風合いがよく、製織の際に非常に織りやすくなり、染色の際色ムラがでない
(タマダ株式会社様より引用)
ヒートセット加工の効果
リワインド加工
●加工内容
リワインド加工とは、糸を巻き直す加工です。そのまき直しの行程中にワックス加工やウースター加工をおこないます。
●WAX加工とは(リワインド)
糸を編立てで使用する場合には、糸の滑りや編み立て性を良くし編立てをスムーズにする為に糸表面にワックスを付着させる必要があります。
一般的にパラフィン系のワックスを使用しておりますが、原料・用途に合わせてシリコンタイプや特殊ワックス等を使用する事もあります。
ワックスはとりわけ難しい組織生地を作成する糸にも欠かせないものとなっております。このワックス加工の工程と併せて糸どけの良いコーン形状に巻き直していきます。小割にする事も可能です。
●ウースター加工とは
ウースターとは静電容量方式により糸の素材及び番手からウースター装置を通過する容量の変化を測定し糸の容量が大きい(太さが異なる)部分を感知し・カットするものです。これにより編み機で針折れなどを起こす欠点を除去したり検反時の欠点箇所に該当する部分を許容範囲に押さえロスをおさえる事ができます。
ワックスを付ける装置の少し手前にウースター(スラブ、ネップ等の糸ゴミを感知する装置)を通し、糸に混入している不良部分を除去します。
※機械メーカーによると欠点除去率の上限は70%とされている為、細かすぎる(多すぎる)欠点の場合残存欠点を許容する必要があります。
※スパン糸の場合、特性上かさ高く製造されている事から欠点が多すぎるとカット回数が多くなり切れだらけの糸になる為、その後の製品品質を保てない事も多いです(ウースター加工自体が困難な事もある)
●加工の効果
・様々な工程において糸を使用しやすいように整える
・スラブ、ネップ等の糸くずをや不良部分を除去
・小割にする事も可能
・WAX付着などをさせる
(サトー産業株式会社様より引用)
上記の加工技術を組み合わせる事によってより良い品質の糸を作り上げる事が可能となります。
加工例
1:ガス焼き+WAX
2:双糸+ヒートセット+WAX
3:双糸+ヒートセット+ガス焼き+WAX
4:三子撚糸+ヒートセット+WAX
5:三子撚糸+ヒートセット+ガス焼き+WAX
6:単糸追撚+ヒートセット+WAX
7:単糸追撚+ヒートセット+ガス焼き+WAX
8:単糸追撚+ヒートセット+双糸+ヒートセット+WAX
9:単糸追撚+ヒートセット+三子撚糸+ヒートセット+WAX
10:単糸追撚+ヒートセット+三子撚糸+ヒートセット+ガス焼き+WAX
これら以外にもご要望にあった加工を致しますので、ぜひご相談ください!